雇用創出にはもうひとつ、産業政策的な流れがある。将来的にあらたな有望産業を生み出し、雇用も創出するような政策である。たとえば、政府は2009年4月に経済危機対策として、低炭素革命、健康長寿・子育て・21世紀型インフラ整備の3分野に重点投資を行い、最大50兆円の需要創出と、最大200万人の雇用創出を行うとした。未来へ向けての産業振興としてはまったく異論はないのだが、はたしてこれは雇用対策なのだろうか
産業政策的な雇用創出とは... の続きを読む
少なくとも製造業に関する限り、日本型雇用システムはその競争優位を失った、あるいは失うであろうといった議論を退けることができる。むしろ確かなことは、日本型雇用システムを放棄すれば、これまでの競争優位は消失するということである。これに関連して、金融業に関してやはり述べておく必要がある。雇用情勢のさらなる悪化が確実に予想されるのは金融業においてであり、その雇用システムがとりわけコストの増大とパフォーマン
日本型雇用システムを放棄すれば製造業での競争優位は... の続きを読む
女性は現に存在する不利に、どう対処すればいいのだろうか。理想的には、信頼できる上司(できれば複数)に人生計画とキャリアープランを話して、たとえば、出産前後と育児に手のかかる時期に負担の軽い仕事に回してもらい、育児の負担が軽くなってから、将来、また仕事上の大きなチャンスをもらうというような協力をしてもらうことだろう。この形なら、本人も会社も納得することができる。ただし、現実的な心配として、会社の上司
不利にどう対処すればいい?... の続きを読む
一〇〇倍の賃金格差が正しいとすれば、それは、その仕事がもたらす収益に究極的には生産性の格差による。すなわち、生産性は「その仕事でどれだけ収益が生み出されるか」によってまず決まる。能力の格差ではない。もう一度サローに戻る。「不思議なことに、格差拡大の大半は、均質と思われるグループ内で起こっている。統計的に見ると、勤労所得の格差が広がっているのは、熟練労働者と未熟練労働者の間、低学歴と高学歴の間ではな
賃金には格差と平等が同居している... の続きを読む
業務執行と経営の分離が進み、そのどちらにもプロフェッショナルが求められてきている。執行役員制度を導入している会社が増えてきているが、そもそもこの制度は取締役の数を減らすのが目的ではない。従来は、係長、課長、部長と役職の階段を登り、取締役になった。取締役すなわち役員はビジネスマンにとって「双六の上がり」という意味合いがあったと思う。ところがこれからは、経営者は会社全体の戦略などを判断し決定する、個々
キャリアにもいろいろな方向がある... の続きを読む
いまから一〇〇年以上前に八時間労働制を要求したアメリカの労働者が、デモ行進するとき歌った歌のなかに「一日八時間は収入のために、次の八時間は休息のために、残りの八時間は自分自身のために」という歌詞がある。こうした画期的な要求のなかにも、生活を維持するための無償の家事労働の必要性については出てこない。しかし、生活上のニーズによる働き方の多様性がむしろ主流となることが社会全体の発展につながるのであって、
世界の流れ・日本の現状... の続きを読む
友達は今、転職を考えているようです。今はあまり景気がいいとはけして言えない状況なので、早まったことはしないほうがいいとは思うのですが、友達としては、もうその方向にしか考えられないという心境になっているようなのです。理由としては単純に、給料が少ないという理由からでした。それに話も違ったようです。一年ずつ、給料があがっていくと話を聞いていたのに、不景気だからとか、業績が悪いからとか、それだけの給料に見
友達が転職を考えている... の続きを読む
経営環境の変化とともに、企業でも、いったん人を雇い入れてもその際に約束した労働条件を守れなくなるときはあるだろう。それと同じように、働き手の人生と生活もいろいろで、就職した際に約束した労働条件を守れなくなるときがある。たとえば、家族的責任にかかわるニーズが生じたときに、パートタイム契約への転換を保障したり、勤務場所の変更を認めることは、働き手のキャリアを持続させ、そのことは企業にとっても有効である
働き手の選択による契約の転換... の続きを読む
政府は、C型の人に対して、手を差しのばしてA型になるように誘導していくべきなのかもしれない。ただ、政府のパターナリズムにも危険がある。たとえば、公的年金は、本来は国民が老後に備えて積み立てておけば済むはずのことである。それを、将来のことを考えずに目先の利益だけを考えて積み立てをしなかった国民が出てくる場合に備えて、政府が強制的に金を徴収し、国民が老後になってから支給することにしているのである。まさ
自由の制限を受け入れその代償として「安定」と「保障... の続きを読む
勉強して、いい高校に行って、いい大学に入りなさいと、お金をかけて塾に通わせたり家庭教師をつけて徹底的に訓練してしまう。そして、事実上の受験技術比べの成績順に大学が決まっていく。自分とは異質な人となんとかしてコミュニケーションをとるとか、知らないこと、わからないことをなんとかして自分で調べてくるとか、自分の周囲に存在する「他者」と交渉して「なんとかする」ということに慣れていない。受験競争に勝つために
社会に出てから役立つ能力のベース... の続きを読む
日本の企業がとってきた終身雇用の雇用習慣が、大学の偏差値で人を判断するという判断基準を生んできたのである。言い方を変えれば、日本の大手企業における「終身雇用」と「上位校中心の新卒一括定期採用」、そして「有名大学至上の受験競争」という三者は一体不可分のものだったのである。日本社会では新卒学生の「就職活動」という文化が定着しており、テレビニュースでも「就職活動スタート」と、一種の季節の風物詩として語ら
終身雇用の雇用習慣が人の判断基準を生む... の続きを読む
「年齢」についで明確で合理的な判断基準は「人事評価」である。人事評価さえ正しければ、たとえリストラを実施しても、職場の雰囲気は悪くならない。その意味では、人事評価をきちんと行った上で、職場全員が納得できるような「普通解雇」を厳格に実施する企業は増えると思われる。UPOROUTで厳しい人事管理をやる外資と同様に、日々の仕事の成果を評価することで、情け容赦なくクビを切る日本企業が続出するということだ。
外資のような人事評価でクビを切る... の続きを読む
積極的労働市場政策をはじめとしたセーフティーネットの構築については、政府が中央集権的にやるよりも、もっと国民目線に近いところでやる枠組みにした方が機能しやすいことは間違いない。もちろん、政府が全体のプランニングをするのはいいが、基本的には国民に近く監視しやすい組織でやってもらうのだ。ここでは、二つの候補をあげよう。一つは地方自治体である。ただし、市町村や都道府県ではやはり単位としては小さい。将来的
企業に代わる第三者団体の必要性... の続きを読む